二十四節季「春分」の万葉歌と野花

1.咲きました、桜でーす、私。
おはようございます。私、桜の花です。飛鳥川沿いの堤防で今日から咲き始めました。この冬は割と暖かく、雨も多かったので仲間たちもほころびかけています。

 

 

 

今年の春は楽しくないことも多いから、少人数でお花見に来てくれるのはどうかしら。飛鳥川沿いには車両通行禁止の遊歩道もあるから同じ夕飯食べるなら私たちに会いに来て、近くで食べるのも悪くないと思うよ。

 

 

 

2.万葉の歌
万葉集で私を詠んだ歌は短歌・長歌を合わせて四十四首あるんだね。散る桜を惜しむ歌は多いんだけど、私のような咲き始めの桜を詠んだのは二首しかないのね。

「春雨に争ひかねて我が宿の桜の花は咲きそめにけり」
第1869首詠み人知らず

意味は分かると思うけど、一応言っとくね。
「本当はまだ咲きたくなかったんだろうけど、雨があんまり急かすものだから、私の家の桜はついに咲き始めたよ」ってところかしら。

私たちってチームワークで頑張るってところあるじゃない? ぱっと咲いて潔く散る、みたいな。だから本当はしゃしゃり出て一番に咲くのって勇気がいるのね。戦国時代だと一番槍? いろいろ言う仲間もいるけどね。「集団行動が大切なのに、あの娘って空気読めない」みたいな。でもいいんだ。最初の一番だから喜んでくれる人もいるし。今朝、咲き始めたらすぐにジョギングの人が私を見つけて、犬と散歩してる人に話してたよ。「あの三本目の木にもう桜が咲いていますよ」って。

二つ目の歌はね。
「鴬の木伝ふ梅のうつろへば桜の花の時かたまけぬ」
第1854首 詠み人知らず

「鶯さんは梅の木の枝から枝を伝って鳴いてたけど、その梅の花が衰えると、いよいよ桜の花の季節だね」って意味だよ。

まあ飛鳥川沿いの梅さんたちの中にはまだ元気なのも居るけど、まあ盛りは過ぎたわね。梅さんの季節が二月上旬から三月下旬。鶯さんが鳴くのは3月上旬から8月頃まで。だから梅さんたちと私たち桜が三月の下旬にバトンタッチすると鶯さんには好都合だよね。鶯さんは渡り鳥じゃないからずっといるよ。3月から8月まではお嫁さん探しや子育てで縄張りを守らなきゃいけないから鳴くのね。夏でも山の高いほうに行って鳴いてるって、こないだ鶯さんが言ってた。

3.季節のお友達
春分の季節はね野の花も賑やかだよ。飛鳥川の土手に咲いてる仲間を紹介するね。

まずはムスカリくん。出身は地中海のほうだって言ってた。春の飛鳥川に咲く花は白、黄色が多いんだよね。そのなかでムスカリさんの紫色、目立ってます。こんなに奇麗なのに花言葉は失望、失意。西洋人は紫色を悲しい色だと思うらしいよ。日本の場合は高貴な色らしいけど。

 

つぎはスノーフレークさん。出身はヨーロッパだって。花びらの先っちょに緑の斑点なんかあしらっちゃって、おしゃれでしょう。彼岸花さんとは遠縁らしいよ。日本の名前もあるって。オオマチユキソウ(大待雪草)っていうんだって。

 

ハナニラ(花韮)くんも頑張ってるよ。出身はアルゼンチン。花びらが6枚なのが面白いね。私たち桜仲間は5枚だからね。球根でどんどん増えるけど、葉っぱも花も春にしか出てこないの。花言葉はねいくつかあるよ。「悲しい別れ」っていうのもあるけど、私が好きなのは「星に願いを」かな。

 

4.ソメイヨシノって子ども(サクランボ)が出来ないの
ヤマトの国の桜も色々な種類があるんだけど、私はソメイヨシノ。江戸時代に作られた園芸種だって。お母さんがエドヒガン(右の写真)でお父さんがオオシマザクラ(下の写真)。そして父さんのオオシザクラにはヤマザクラの遺伝子がまじってるってよ。

 

私たちは咲いても実がつかないの。でもね、ミツバチさんが多いところだと一応は受粉して少しは実が膨らむの。サクランボにはならないけどね。実がつかないのにどうやって増えるのかって? 日本の国には何千万本ってソメイヨシノの木があるもんね。それはね接ぎ木で増えるんだよ。だから遺伝子はどの木も全く同じ。クローンってやつだね。だからかな一本一本の木にはほとんど個性がなくて、一斉に咲いちゃうんだよねえ。散らないうちに見に来てね。きっとだよ。

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