春なのに逢えない切なさ、万葉集、ホトトギスのこと

春も盛りになりました

ツツジの花

朝がどんどん早くなっていますね。私の寝室は東向きで、五時ころにはもう薄明るくて目が覚めてしまいます。二十四節季でいえば穀雨も半ばを過ぎてもうすぐ立夏、あれこれしているうちに夏至もすぐそこ、という時の早さです。日課の朝ランで農村や川沿いを走っていると、驚くほどの多くの花が咲いています。3月初旬から咲いている種類もあれば、昨日までみなかったというのもあります。全くのところ一日一日油断できません。

ヤマブキの花

万葉集には草花を詠んだ歌が1500首ほどもあって色々な花の名前が登場します。でも特定の花ではなくて「ある花」を詠んだものもたくさんあります。このタイプの歌を三つほど楽しんでみましょう。画像の花は、最近ランニング中の飛鳥川や曽我川でスマホ撮影したもので文章の内容とは必ずしも関係ないです。

逢ってくれない意地悪なひと

アザミの花

春の野に霞たなびき咲く花の
かくなるまでに逢はぬ君かも
     第10巻 1902番 詠み人知らず
ずっと逢ってくれないうちに、野原には霞がたなびき、こんなにも花が咲く季節になってしまって。ねえ、ひどいって思わない? という意味でしょうか。

タンポポの綿帽子

「逢わぬ君」はどう解釈しますか?「私が逢っていない君」なのか? はたまた「私に逢ってくれない君」なのか? 後の解釈のほうが、どうしようもないもどかしさ、男女の駆け引き、物語があって面白いですね。

やっと逢えたね

ジャゲの花

住吉(すみのえ)の里行きしかば春花のいやめづらしき君に逢へるかも
   第10巻 1886番  詠み人知らず住之江の里に行って見たから、春の花のように奇麗な君に逢うことが出来たってわけ。行った甲斐があったよ。

ボタンの花

今のコロナ自粛時期にこそ鑑賞したい歌ですね。今困っている遠距離恋愛の人たち。郷ひろみも歌ってました、「逢えない時間が、愛育てるのさ。」って。逢えないからなおさら思いがつのる。でも外出自粛規制が解けて最初に愛しい人に逢いに行ったとき、これは遠くまで行く甲斐が絶対ある。今はくよくよしないで、次に逢える素晴らしい時間を想像して耐えてください。

春、花鳥風月を愛でる

ヒメツルニチニチソウの花 かな?

時ごとに、いやめづらしく、咲く花を、 折りも折らずも、見らくしよしも
     第19巻 4167番 大伴家持
季節ごとに本当に美しく咲いてくれる花は、手折って生けて見ても、また野にあるままで見ても、どっちもマジで眼が喜ぶよ。

マツバウンランの花

この歌の一つ前は同じく大伴家持の作で、「時ごとに、いやめづらしく、八千種(やちくさ)に、草木花咲き、鳴く鳥の、声も変らふ、耳に聞き、目に見るごとに、、、」と始まり、後半はホトトギスをたたえる長歌なんです。ホトトギスの鳴き声知ってますか? ウグイスの「ホーホケキョ」は子供でも知ってますが、ホトトギスはこんな鳴き声です。

音源は「Bird Fan」のHPからお借りしました。

特許許可局(トッキョ キョカ キョク)って聞こえるでしょ? 今度山に行ったときに思い出してくださいね。

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