二十四節季「雨水」の万葉植物

目次
1.雨水とは
2.家の近くで見る草花
3.この頃の万葉歌植物
4.雨水の話題あれこれ

1.雨水とは
(1)天文学と季節
日本が中国から取り入れた太陽暦のシステムで、冬至から数えて地球が太陽の周りを60度公転した時期です。西洋の占いでは「うお座」のスタートになります。
現在の暦ではだいたい2月19日になるようです。また19日からの15日間を雨水の期間と考えるようです。まだまだ雪の季節ではありますが、次第に雨に変わってくる季節という意味です。立春から雨水にかけて春一番が吹き、あの花粉症の季節がやってきます。

(2)七十二候
二十四節季は中国の北京のあたりの季節感を表しているそうです。この下に七十二候があって、5日ごとに季節の移り変わりを表現しています。これも中国の発明ですが、日本の季節には必ずしも合わないので日本バージョンがあります。雨水の期間は15日間なので、その中に3つの候があります。以下が日本版です。
土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる)⇒ 雨が降って土が湿り気を含む
霞始靆(かすみ はじめて たなびく)⇒ がたなびき始める
草木萌動(そうもく めばえ いずる)⇒ 草木が芽吹き始める
花も増えて生け花のお稽古がいよいよ楽しくなる季節です。

2.家の近くで見る草花(奈良県橿原市です)
先日の早朝ランニングで色々な花を見ることが出来ました。

飛鳥川の土手の桜です。花の芽が膨らんできています。 朝早くは霜が降ります。細かい氷の粒に覆われながらも春の野花は咲き始めます。
スイセンはまだまだ元気。このあと菜の花に引き継ぎ、土手は黄色に染まります。 ツバキも花の時期が長いです。つぼみもたくさんあるので3月初めまで楽しめます。
白梅紅梅はよくペアで植えられています。とても目出度い気分になれます。千塚古墳のあたりでは鶯が上手に鳴いています。 これは菜の花ではなくて、白菜の花。香久山近くの畑で見つけました。ヒバリもピーチク鳴いていていました。

3.この頃の万葉植物
(1)梅
はるののに きりたちわたり
ふるゆきと ひとのみるまで うめのはなちる

春の野に霧が立ち込めている。
まるで、雪が降っているのかと見間違えるほど梅の花が散っている
巻5ー839

(2)柳にうぐいす
うちなびく はるたちぬらし   
わがかどの やなぎのうれにに
うぐひす なきつ

一面霞こめる春になったらしい。
わが家の門の柳の枝先で
鶯が鳴いた
巻10-1819   柿本人麻呂

(3)すみれ

はるののに すみれつみにと こしわれそ
のをなつかしみ ひとよねにける

春の野原にすみれ摘みにやってきた私だが、
そこがあまりに親しみを感じたもので、
うっかり一晩寝あかしてしまいました。
山部赤人 巻8-1424

3.雨水の話題あれこれ
二十四節季の順番では、立春⇒雨水⇒啓蟄 となります。暦の上では春は立ったけれども、まだ寒い。降る雪が季節つつもに雨に変わり地面を潤してくる。地下で眠る昆虫にも陽気が届いて地上に出る準備を始める。という流れでしょうか。

七十二候にはオリジナルの中国版があります。
獺祭魚(かわうそ うおを まつる):が捕らえた魚を並べて食べる。
 これは面白いですね。獺(かわうそ)は捕った魚を河原に並べるそうです。それがお供えのように見えるから「かわうそ うおを まつる」。人気銘柄の日本酒の名前にもなっています。
鴻雁来(こうがん きたる):が北へ渡って行く
この時期、中国北京あたりで観察すると雁の群れが南から北へ飛んで帰るのが見えるそうです。
草木萌動(そうもく きざし うごく):草木が芽吹き始める
天気の良い日に川の土手沿いに歩くと本当に色々な草花が萌え出てきています。桜の花の芽もちゃんとついています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました